カメラを通して人生を温めたい。その場で生まれた「感情」を撮るウェディングフォトグラファー・MONA

更新日:2021.10.01

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花嫁の華やかな装いにこぼれる笑顔、花婿の決意あふれた凛々しい表情、それを見守る両親や友人たちの幸せそうな顔。結婚式の晴れ晴れしさはもちろんのこと、その場にいる人びとの感情を写真に写し込む、ウェディングフォトグラファーMONAさん。
フリーランスフォトグラファーとしてさまざまな分野で活躍する中、「ウェディングフォトグラファーは天職」と語るMONAさんが大切にしている価値や、仕事への向き合い方についてお話を伺いました。その根底には「この仕事が好き」というMONAさんの強い想いがありました。

ウェディングフォトグラファーは天職。いろんな想いが集まる「結婚式」を撮りたい

MONAさんは、これまでかなりの数のウェディングフォトを撮影されていると聞きました。どの写真からも、結婚式の感動が伝わってきます。今回は、MONAさんが目指す世界観やそのルーツを探りたいと思っています。これまでどれくらいのカップルを撮影されてきたのですか?

MONA 数えてみたら自分でも驚くほどの数になっていて、通算、523組のカップルの結婚式を撮影しました。
今はフリーランスですが、もともとは地元の長崎で漠然と「カメラマンになりたい」と思って、写真を勉強をはじめ国家検定写真技師という資格を取りました。その後長崎の結婚式の会社のフォトグラファーになり、博多への転勤も含め5年間働いていました。
その間は毎日がめまぐるしかったですね。1日2組の婚礼の撮影をするおかげさまでお客様から指名をいただくことも多く、社内でMVPを頂いたこともあります。

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当時から人気のあるフォトグラファーだったのですね。指名が多いということは、お客さんの満足度も高く充実したお仕事をされていたのだと思いますが、なぜ独立したのですか?

MONA 会社でのお仕事はとても楽しかったのですが、忙しすぎてお客様との打合せの時間が少なかったり、直接打合せができないことに「本当にこれでいいのかな」とモヤモヤするようになりました。撮影当日、プランナーさんから「こんな方たちです」と説明してもらって、お支度室で「はじめまして」と顔を合わせるという感じです。

大切な人の、いろんな想いが集まるのが結婚式。たとえば、おじいちゃんが大好きでおじいちゃんにドレス姿を見せたいとか、友達の気持ちがいっぱい詰まった結婚式とか、本当に1組ずつ様々なんです。心に残る写真を撮るためには、そういう話を直接聞いておきたいという気持ちが強くなっていきました。

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たしかに、結婚式には胸が熱くなる瞬間がたくさんありますよね。MONAさんの写真からはその空気感まで伝わってきて、これはMONAさんにしか撮れない写真だと感じます。でも、式場でのお仕事をやめてまで上京してフリーランスになるというのはすごく思い切った選択だったと思うのですが、どういう転機があったのですか?

MONA 写真を始めた頃に見つけた「いつか、東京でフォトグラファーをやりたい」という夢を叶える為上京しました。
フォトグラファーとしてのキャリアはほぼ式場だけだったのでフォトスタジオを何社か受けたのですが、私の思いが強すぎたのか、なかなか受け入れてもらえませんでした。面接を受け続けていたら「独立したほうがいいんじゃないですか?」とアドバイスをもらうようになって、面接を受けるたびに自分に自信がつくという不思議な状況だったんですよね。
そうしているうちに、もうやるしかない!と覚悟を決めて、開業届けを出して独立しました。

すごい行動力です。長崎での豊富な経験がMONAさんの方向性を定めたのですね。インスタグラムを拝見したのですが、すてきな写真ばかりでその世界観の豊かさに驚きました。

MONA ありがとうございます。インスタの写真はほぼ趣味で撮影しています。インスタもウェディングフォトも、「好きになり、役に立ち、応援する」をテーマに撮影しています。相手のことを知ると、自然と好きになって、好きになると応援したくなりますよね。いつも、そういう思いを持って写真を撮っています。
画像 インスタでは、フォロワーを増やしたいというよりは、自分の世界観を大事にするように心がけています。その結果、インスタ経由で連絡を頂いたり、私のことを見つけてくれる人がいるのはとてもうれしいです。独立して最初は不安もありましたが、今はよかったと思っています。

こんな風に撮ってもらえたら、写真を撮られた人たちは本当にうれしいと思います。いろんな人に「見て!」って言いたくなるだろうし、なにより、その場の空気感まで見えてくるようです。プライベートではどんな写真を撮っているのですか?

MONA 趣味の延長線上に仕事があるという感覚なので、あまり区別していません。いつも気持ち全開で撮影しています。

MONAさんと話していると、気持ち全開、というのが伝わってきます。本当に写真を撮るのが好きなんですね。

友人と間違われるほど、心の垣根を取りのぞいて撮影にのぞむ

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結婚式を撮影する時もたくさんの人に出会うと思うのですが、MONAさんはフォトグラファーとしてどのようなことを大切にしていますか?

MONA 家族の成長をずっと追っていけるようなフォトグラファーでありたい、と常に思っています。理想は、結婚式が終わって、たとえばお子さんが生まれて1歳、2歳と成長しても、ずっとその家族を撮り続けられることです。

これからもずっと、写真を残して、その写真を見返して、その人たちの人生を温めるような活動をしたいと考えています。

たしかに、そんな想いが詰まった写真を見返す時間はとても温かくて豊かなものになりそうです。結婚式にはたくさんの人の想いがあるのでそれをすべて写真に撮るのは難しそうですが、どんな気持ちで撮影に臨んでいますか?MONAさんが大切にしていることをおしえてください。

MONA いちばん大切にしているのは、コミュニケーションです。
結婚式当日、撮影しているときはゲストとも親族ともたくさん話をします。私がカメラを向けたときに安心感を持ってもらいたいからです。どんな人が撮るか知ってもらったほうが、知らないよりいいですよね。
結婚式には、それぞれの道を歩んできたふたりの、大切な人たちがひとつの空間に集まります。そこで、笑ったり、泣いたりしている。最高の瞬間ばかりです。だから、「ああ、この瞬間を新郎新婦様にも伝えたいな」と思いながらファインダーをのぞいています。
画像 時々、ご両親などに新郎新婦の親しい友人だと間違われることがあるんです。それくらい、みなさんによく声をかけます。「この人に撮影をお願いしてよかったな」って思ってもらえたら、結婚式全体も「すごくよかった」という思い出になりますよね。一般的に「結婚式のカメラマン」って黒子のようなイメージがあるけど、私は少しでもみなさんの記憶の片隅に残りたい。結婚式というひとつの空間を作り上げるチームの一員という意識です。

友人と間違われるほど自分たちを知ってくれるMONAさんに撮ってもらえたら、その写真は一生の宝物になりそうです。MONAさんだからできるコミュニケーションですね。きっと長崎で式場フォトグラファーをされていたときのご経験がかなり活かされているのだと思います。

MONA はい。なにより、私にはウェディングフォトグラファーが天職だと感じています。「まさかこんなに好きになるとは」と思うくらい、このお仕事が好きです。
好きだからこそ、たくさん件数を入れすぎないようにして余白と愛情を持って撮影に臨むようにしています。忙しすぎるとじっくり新郎新婦様に向き合えません。だから自分の仕事を自分でコントロールして、ウェディングフォトの件数はある程度絞っています。
大々的に宣伝もしていないので、どこかで私を見つけてもらえたらうれしいです。

新郎新婦様のことを好きになるから、感動で泣きながら写真を撮ることも

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余白と愛情……。そんな風にていねいに被写体と向き合われているのですね。ほかに、写真を撮る時に心がけていることはありますか。

MONA 新郎新婦のことをよく見て、話して、知るようにしています。おふたりが出会った経緯から、結婚式にどんな人が参列するのか、どんな関係性なのかなど、時間をかけて知るようにしています。
おふたりそれぞれの家族構成など、一歩踏み込んだことも聞くようにしています。もちろん無理に聞き出さないように配慮はしています。ご両親が離婚されている、早くに亡くなったなど、結婚式の撮影をするためには大切な情報だからです。

そうやって、新郎新婦のことを深く知るうちに、目の前にいるふたりのことがとても好きになります。そして、ずっと友達だったような気持ちになります。
時には、撮影しながら泣いてしまうこともあります。プロだから泣きながらでもちゃんと撮りますけど、心から感動する瞬間がたくさんあります。

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そんな想いを持つフォトグラファーに撮ってもらえたら……。想像するだけで、温かい気持ちになります。それはきっと、新郎新婦にとって最高の写真になりますよね。ふたりの気持ちに寄り添うことをすごく大切にされているのですね。

MONA この前も、こんなことがありました。新郎さんが「プロポーズをちゃんとしていないから、サプライズで手紙を読もうと思っているんですけど」と相談してくれたんです。仲の良い友人のように感じてもらえるのは、とてもうれしいです。
あと、「MONAさんがいると安心する」と言われたこともあって、そういう心の寄り添い方を大事にしています。

プロのフォトグラファーとして、きれいな写真を撮るのは当たり前。その上で、現場でなにを見て、いろんな人の感情を撮るのかを考えています。ずっと拍手をしている車椅子のおばあちゃんとか、泣いているお父さんの横顔とか、そういう瞬間を見ると私も感動するし、心が強く動いた瞬間にシャッターを切っています。

まさに、ウェディングフォトグラファーは、MONAさんの天職ですね。結婚式が好き、そこに集まる人が好き、という想いが伝わってきます。

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MONA この仕事をしていていちばん幸せなのは、いろんな感情に出会えること、そして圧倒的に喜んでもらえること。誰かの人生に寄り添うことで、私の人生が作られている。そう思うと、とても幸せな気持ちになります。

フォトグラファーとして私を選んでもらえたからには、ふたりで迎える人生の節目である結婚式でやりたいことを叶えてほしいから「ふたりにとって世界一のフォトグラファー」であり続けたいと思っています。

ウェディングフォトグラファー【MONA】profile

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結婚式の撮影からカメラマンとしてのキャリアをスタートし、528組の結婚式に携わる。
2019年上京と同時に独立。ウェディングフォト含め人物撮影を中心に、雑誌や取材やyoutubeまで幅広く活動中。

人生を共に歩むと決めた二人の想いと感情が大好きで【好きになり、役に立ち、応援する】をモットーに感情を未来へ届ける撮影を大切にしています。
飾りすぎず、気取らず二人のありのままの空気を切り取るのが得意です。温かく想いを込めて撮影します♡

MONAさんについて詳しく知りたい方は
こちら

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