「結婚式は<Present>素敵な空間と音楽、美味しい料理があればいい。参加した全員にとって、一番楽しい瞬間であれば」 フリーウェディングプランナー・相原千鶴

更新日:2023.01.12

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日本で「オリジナルウェディング」プロデュースの草分け的な存在だった『CLASKA WEDDING』を、初期から2020年の閉館まで支え続けたウェディングプランナー・相原千鶴さん。Lejuのプランナープロフィールページの中で、ひときわ凛とした表情に惹かれたお客様から「一目ぼれ」問い合わせも多いのです。

インタビュー前に、相原さんに書いてもらったヒアリングシートには「結婚式にコンセプトは必要ないと思っています」。その真意が知りたくて、彼女のまっすぐな視線の先にある活動の”これから”を知りたくて、彼女を培ったCLASKA時代から、独立した現在、コロナ禍を通して考えたことを詳しくうかがいました。

「結婚式で出来ないことはないかも知れない」心強いパートナーは『CLASKA WEDDING』で得た財産

まずは独立してからのウェディングプロデュースについて伺います。独立の方は2021年からですが、本当にコロナ禍結構真っただ中みたいな時に独立されています。
コロナ禍での独立で、問い合わせとか新規のお仕事って、どういう感じで受けていたんでしょうか。

相原 2020年まで働いてたCLASKAで、コロナ禍で結婚式をあげられなかった方が、10組ぐらいいらっしゃって、それもそのまま引き継いでいるんです。
それを2021年、2022年で少しづつこなしながら、新規のお客様からの問い合わせも受け付けています。パートナーさんからの紹介や、Instagramからのお問い合わせもありますね。

2020年に、惜しまれながら閉館してしまったホテルCLASKAでの『CLASKA WEDDING』についても伺いたいです。わたしはブライダル業界を取材して6年ほどですが、ずっと素敵なウェディングプロデュースだなと思いながらInstagramや公開される情報を拝見していました。
所属プランナーって何人ぐらいいらっしゃったんですか?

相原 もともと『CLASKA WEDDING』はプランナー3人だけで回していて、閉館前年にはふたりになり、病気になって欠員が出たり…閉館時に最後まで残ったのは、私ひとりでした。

『CLASKA WEDDING』のInstagramには、「今後は実績を活かして、チームとして全国どこへでもお手伝いする」と書かれています。

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相原 『CLASKA WEDDING』のパートナーはみな独立してやっている方たちです。自分も閉館と共に独立する際にパートナーの方たちと「今後ともよろしくお願いします」」という形で、関係を引き継いでの独立になりました。

結婚式は私ひとりで作り上げることができないんです。
CLASKAでの経験から、新郎新婦様、参加するゲストの方、新郎新婦をサポートするパートナーたちが揃い、カタチになるプロデュースを学びました。
独立したいま、心強いパートナーと一緒であるのが、フリーとして私の強みだなと思っています。

これだけパートナーの選択肢があると、お客様も安心できるし、依頼する際に心強いですよね。お客様からの問い合わせで、 自分で全部最初から決めなきゃいけないのかな…と、心配される方も結構いらっしゃると他で伺っています。
会場は、今までは「CLASKAホテル」という決まった会場がありました。
フリーとなったいま、会場探しはどうやって?

相原 私が今すぐ案内できる会場がいくつかあるので、問い合わせからすぐのご案内も可能です。
ただ、提案会場におふたりの希望が当てはまらない場合は、とにかく探します。期限を決めて1週間以内には探して、新たな提案をおこないます。
会場のリサーチは心強いパートナーからの情報提供だけでなく、実は「結婚式を挙げた元新郎新婦」の方たち…いままで結婚式を通じて知り合った方たちまで、力を貸してくださるケースも多いです。本当に今までの経験と仲間のおかげで、おふたりの”やりたいこと”を、確実に形にできる体制が整っています。

【相原さんがチームを引き継いだ『CLASKA WEDDING』とは】
2020年12月20日閉館した目黒のデザインホテル「CLASKA(Hotel CLASKA)」

目黒通り沿いに位置するホテル「ニュー目黒」をリノベーションし、2003年に開業。老朽化したホテルを再生させた、デザインホテルの先駆け。
ホテルをはじめレストラン、レンタルスタジオ、ギャラリー&ショップの機能を備え、東京ならではの価値観とカルチャーを発信してきた。
東京のカルチャーを象徴するホテルを舞台に、『CLASKA WEDDING』は他社に先駆け、1日1組様限定・完全オーダーメイドのウェディングのプロデュースを開始。以降、自由でアットホームでクリエイティブなウェディングを提案し続けてきた。
ホテル閉館の理由は、竣工から51年が経過している建物の老朽化が進み、今後の保守整備や改修が困難な状況であることと、地権者との定期建物賃貸借契約の見直しのタイミングが重なったため。
『CLASKA WEDDING』のクリエイティブチームは相原さんが引き継ぎ、全国どこでも出張する、ウェディングプロデュースチームとなった。

『CLASKA WEDDING』
Instagram:https://www.instagram.com/claska_wedding/

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CLASKAでのウェディングプロデュースは、どのように新郎新婦の希望を形にしていったのですか?

相原 本当に全部自由に結婚式をプロデュースできる環境でした。プランナーが3人で回していたので、担当以外のウェディングもみんなで考えて、パートナーさん達含む全員で考えてプロデュースしていましたね。
CLASKAを選んで来てくださるおふたりも、面白い人たちが多かったですね。
やりたいっていうことをやるためには、どうしたらいいかなっていうのを考えるのが、とにかく楽しかったです。

ホテルCLASKAのもつカルチャーや、発信されるウェディングの自由さに惹かれてくる方が多かったのではと思います。

相原 自由度もそうですが、毎回空っぽの会場が、新郎新婦の希望にあわせて、いろんな色に染まっていくのは本当に魅了的な時間でした。
また、プランナーごとにプロデュースのカラーが全然違うんです。
自分では思いつかないことを、周囲のパートナーさん達…フローリストやフォトグラファーに聞けば、アイデアやアドバイスがすぐにもらえる環境で、とにかく刺激を受けましたね。

担当はひとりのプランナーが受けるけど、会場にいる周りのみんなが、いろんな意見を出してくれるんですね。

相原 そうです。まさに「みんなでウェディングを作っている」んですよね。会場にいる人全員が、関わる人全員が、全員で造り上げていく。
CLASKAにいたから、CLASKAで出会えたから、なんでもやれる自信と、どんな場所でも結婚式ができる自信がつきました。

仲間がいるから?

相原 仲間がいるから。そうですね、きっと。
窓口は私でも、私ひとりで結婚式を作ってるわけじゃない。
新郎新婦の力も借りるし、パートナーさんたちの力も借りて、できあがっていきます。みんなで作るから、みんながチームの一員なんです。

いま、おじいちゃんとおばあちゃんの畑を会場にして、結婚式をやりたいと相談を受けています。
おふたりは設計の仕事してるから、自分たちで、まず畑にログハウスのような簡単な建物を作って「建物と畑をロケーションにウェディングをやりたい」と。
依頼を聞いてすぐ「あ、できる!やりましょう!」と思いました。
機材も借りるあてがあるし、実現できるメンバーもすぐに目星がつく。必ず実現できるでしょう?と。
どんなところでも「みんながいたら、大体なんでもできるかな」とCLASKAで考えられるマインドになりましたね。

【独立したばかりでありながら提携パートナーはなんと20近く!】
202相原さんにプロデュースを依頼した新郎新婦の「やりたいこと」を、最高のクオリティで叶えてくれるのは『CLASKA WEDDING』時代から苦楽を共にした、20近くものパートナー達。
ブライダル業界で一目置かれた『CLASKA WEDDING』のクリエイティブ部分を支えた、高い技術を誇るクリエイター集団との絆を、相原さんがそのまま、まるっと引き継いだ。
「新郎新婦はやりたいことだけ、楽しむことだけに集中してほしい」と考える相原さんは、余計な事で新郎新婦が悩まなくて済むよう、技術の高いパートナーを紹介している。
また、ふたりが希望する「やりたいこと」も、パートナー達が意見とアイデアを出し合い、さまざまなウェディングスタイルを実現させてきた。

相原さんと提携するパートナー一覧はこちらから
sowell:https://sowell.tokyo/

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「コンセプトは必要ない」新郎新婦の”やりたいこと”だけ大事にできるプロフェッショナルなプロデュース

相原さんがウェディングプロデュースのなかで大事にしている点で「披露宴にコンセプトは必要ではない」のひとことがあり、かなり驚きました。
オーダーメイドウェディングのプロデュースって「コンセプト」の決定を新郎新婦のヒアリングをもとに始めるところからだと、勝手に思っていたんです。
ところが、相原さんは「必要ない」と。

相原 周囲で主流の「オーダーメイドウェディング」と謳っているプロデュースで、しっかりコンセプトを固めて「ここからこうやって作っていきましょう」のやり方は、CLASKA時代からずっとやっていないんですよ。
コンセプトシートも、一回も作っていません。

えっ…!! そうなんですか。

相原 コンセプトまではいかないけれど、ふたりがやりたいことや、好きな色…そういう基本的なポイントになるものは決めてもらっています。
もちろん、コンセプトを決めたい人は決めますよ。ただ決めたい方は、最初からふたりでコンセプトをすでに決めてもってこられるケースが多いです。
一方で「コンセプト」をそこまで必要としていないおふたりも多いんですよ。

コンセプトは別段必要ない、単に楽しくやりたい、みんなといい時間過ごしたいっていう人たちに「コンセプトから考えましょうね」となると、それは単なる負担に過ぎません。
必要を感じていないのに考えてもらうのは、考えすぎてなにも出てこなかったり、疲れさせてしまう。だから無理にやってほしいとは思っていないんです。

「大好きなみんなと集まって、美味しいご飯を食べたい」で、結婚式は十分な動機であり、コンセプトなんです。
その気持ちだけで”楽しいパーティー”や”思い出に残るパーティー”はできてしまうから「もう結婚式を楽しむ気持ちだけでいいんですよ」とふたりに最初から伝えています。

【全員のいい表情が記録に残るプロデュースに「コンセプト」は実は必要ない】
相原さんがプロデュースしたウェディングのフォトを見ていると、新郎新婦もゲストも、結婚式の裏方のはずのパートナー達も、全員が「いい笑顔・いい表情」であるのに驚く。
「披露宴にはコンセプトが必要だ、ということはない。ふたりがやりたくないことは無理にせず、 好きなもの、好きなことを取り入れてほしい。素敵な空間と音楽、美味しい料理があればいい。新郎新婦はもちろん、 両親、友達、関わった全員が楽しかったねという瞬間<Present>を、共につくっていきたい」

…昨今ビジュアル面やコンセプトメイキングなど、概念が複雑になる結婚式。もっとシンプルに、ふたりとゲストに楽しんでほしい…。
だからふたりのやりたいことを高クオリティで確実に表現するクリエイター陣の紹介によって、丸投げでも問題ないと安心してもらう。
「ふたりが無理をせず、誰もが結婚式を思い切り楽しむ」時間を最初から最後まで作り上げるのが相原さんのプロデュースだ。

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相原 おふたりに考えてもらうポイントはありますよ。
ゲストに楽しんでもらうために「じゃあ、この空間はどんなお花にしましょうか」だったり、「お料理はやっぱりこだわりたいよね」だったり。
あとは音楽。音楽は空間のカラーを左右するから、「うん、うん、音楽はちゃんと決めてこうね」と。

また、結婚式が終わった後に残っている記録は、記憶と、写真と、動画しかありません。
記憶はどんどん薄れていって、正しく結婚式の様子が伝わるのは写真と動画だけ。だから、絶対に納得のいくクリエイターを選んでほしい。
「フォトグラファーとシネマトグラファーは、自分たちの納得のいくひとをしっかり選んで決めようね」という感じで…。
がっちりしたコンセプト作りをしなくても、いまのところプロデュースで困ったケースがないんです。

おいしいお料理とご機嫌な音楽と、素敵なお花で飾った素敵な空間を作れば、私は結婚式自体は絶対に、忘れられない素敵な時間になると思っているんですよね。
あとは、ふたりが招待した大切な”みんな”が来れば、もう絶対に楽しくなる。
実際、私のもとに相談に来るおふたりは「コンセプトはとくにない」方が多いと感じています。
おふたりは、結婚準備と結婚式準備でかなり忙しい。余計な力を注がなくていいって思ってます。

潔いです。クリエイティブは、やっぱり信頼しているクリエイターさんたちがチームとしていて、どんな変化球がきてもうまく作ってくれるからコンセプトなしでもおふたりが考える「素敵な空間」「素敵な記録」ができると確信できる部分もあるのでしょうか。
チームとしての余裕と余力が自信としてあるから「なんでもどんとこい!」といえる部分はあるかもしれません。

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相原 ふたりの「やりたいこと」だけは、最初に必ず考えてもらいます。ただ、結婚式をやろうと思った時点で、少なからず、必ずやりたいことはあるはずなんです。
考えてもらうのはそこだけです。
わたしが最初に無理にコンセプトを考えさせて、提案したものを見たら多くの人は「それがいい」となってしまうので…それでは本当の意味で”ふたりの結婚式”にはならないでしょう。
だから、どんな小さなことでもまずはやりたいことを投げてもらうことから始めます。

コンセプトまではいかないけど、ほんとにやりたいこととか、「こういうイメージはもともとあるよね」みたいなところをざっくり聞いて、あとはプロが形にしてく。

相原 フォトグラファーなどクリエイターだけはこちらから提案しますが、カメラマンやヘアメイクの持ち込みはもちろん可能なので、持ち込みの方と比較してもらったりして、絶対に後悔のないように決めていただいていますね。
オンライン打ち合わせ以外にも、決める前にクリエイターと顔合わせをしたい場合はセッティングも行います。
とにかく「後悔はしてほしくない」ですから。

ただ、通常は「やりたいことを素直に口に出す」って、相当打ち解けていないと難しい方も多いと思うんですよ。
でも、相原さんとは今日が初対面なのに、なぜかとても話しやすくて、びっくりしています。
どんな突拍子のないやりたいことでも、聞いてくれそうというか。どんな球を投げても打ち返してくれそうというか…

相原 自分ではちょっと分からないですが、いろいろな方からよく言われます。
「いろんな会場を見てプランナーと話してきたが、一番話しやすいですね」と。そうなんでしょうか。

相原さん、すごく話しやすいです。(きっぱり)
プロデュースがきっちりしたコンセプトなしでもすべてうまくいくのは、相原さんの率直でなんでも話しやすい人柄と、長年培ってきたプロフェッショナルたちのチームワークによる部分が大きい気もします。
そんなバックボーンは、通常のプランナーには、なかなか求められないと思います。

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「結婚式は瞬間を楽しむ<Present>」ビジュアルより、コンセプトより、大切な時間を逃さず刻んでほしい

【相原さんがウェディングプロデュースで大事にしている<Present>】
過去でも未来でもなく、今この瞬間<Present>の喜びを、 大切な方と祝うことが最大のプレゼント。私はそう考えています。
そしてそのプレゼントはその人らしい瞬間であってほしい。 つまり、祝いのかたちを先入観で決めてほしくないとも考えています。
たとえば雑誌やサイトで書かれている「結婚式」以外にも、 自分らしいスタイルがあることを知っていただきたいです。
また「披露宴」にはコンセプトが必要だ、ということもありません。やりたくないことは無理にせず、 好きなもの、好きなことを取り入れ、空間、音楽、料理などのおもてなしで、新郎新婦はもちろん、 両親、友達、関わった全員が楽しかったねという瞬間<Present>を、共につくっていきたいです。
※「sowell」より抜粋

相原さんが大切にすることば<Present>には、どんな意味が込められているのですか?

相原 プレゼントって「瞬間」の意味もあるんです。「贈り物=<Present>=瞬間」なんですね。
結婚式の時間のなかで、瞬間、瞬間が大事だなって思っています。
大切な日に、大切な人たちが集まってくる、大切な時間。
おふたりには一分一秒を、瞬間をすべて感じ取って、大切にしてほしいから、結婚式は<Present>だなと考えて、新たなプロデュースのテーマにしました。

では、どう大切にしていくのか?
実はうまく言い表せないですね。なぜって、ひとはそれぞれですから、大切にする方法は人によって違いますから。
簡単に言ってしまえば「いい1日」です。

例えば、結婚式を全くやるつもりがなかったものの、弟の結婚式を見て「結婚式、やっぱりちゃんとやらなきゃな」と思ったおふたりがいたんですよ。それで、家族だけで、清澄の庭園を借りて食事会を計画したんです。
新婦様のお父さまが最後の挨拶で「娘の結婚式、晴れ姿を見れると思っていなかったから、この会があってとてもよかった」って言ってくださったその瞬間…。
その場の誰もが、新郎新婦も家族も私も裏方にいるパートナーも、全員が本当に良かったと感じている表情で。

それって、すごく素敵な瞬間ですね。

相原 ちょっと上手に伝えられないんですけど、それぞれのおふたりの、家族のいろんな思いが詰まる日だから、その瞬間瞬間を大切にしたいんです。
そして、瞬間を逃さず、確実に残すためには、写真や動画を撮っておかないと、きっと記憶は薄れていってしまうから、フォトグラファーにとことんこだわって選んでもらっています。
私のプロデュースは、すごくシンプルだと思います。

確かに、記憶はどんどん薄れて忘れていってしまいますよね。私も自分の結婚式の画像をたまに引っ張り出して「ああ、こうだったな」ってそのときのことを思い出します。
その日をいま思い出しても、1番大事な日だったなと感じられます。

【新郎新婦が<Present>の喜びを受け取った、その先の未来】
相原さんとパートナーと、「チーム」と共に結婚式を挙げた新郎新婦とのお付き合いは、その先も続いている。
ウェディングもそれ以外にも人生の節目の祝いやアニバーサリー…バースデイパーティから、記念撮影、お子さまや成人、還暦の祝い、お別れ会にいたるまで、 人生の節目となる祝いのカタチを一緒に考え、実現し、記録に残す相談も請け負っている。
中には、相原さんの結婚式プロデュースをお手伝いするパートナーのひとりになった新郎新婦も。
最高の瞬間を楽しむ<Present>は結婚式だけでなく、さまざまな節目で相原さんたちが伴走し、その瞬間を更新し続けてくれるのだ。

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私ごとで申し訳ないのですが、結婚式準備が大変すぎて、結婚式当日は体調を悪くしてしまったんです。あまりのプレッシャーに体調悪いし、なにより寝不足で…。
結婚式自体は本当によかったと思います。みんな「楽しかったね」って言ってくれてよかったんですけど、自分はじゃあ思い切り楽しめていたかっていうと、当日はそうでもなかったんですよね。

相原 ゲストの皆さんは、おふたりに会うのを楽しみに来ています。
結婚式って、誰のためでもなく、おふたりが楽しめていないと絶対に意味がないんです。

わたしが結婚式のプロデュースで心がけているのは、当日おふたりも、ゲストの皆さんも、パートナーさんたちも、「今日1日楽しかったよね、楽しかった」って言ってもらえるために、前日までの準備をしっかりおこなうことなんです。

2人が寝不足にならないようになるべく早く納品物の期限を設定して。
もう絶対に前日の夜は寝ていただけるスケジュールを組みます。でないと、おふたりは楽しめないでしょう?
前日までにやるんだったら、もうやらなくていいんです。
間に合わないんだったらやらなくていいんです。辞める決断をするのも大事だと常々アドバイスしています。

結婚式準備って、コンセプトはじめさまざまな要素にこだわりすぎて、自分からやることを増やしがちですよね。
まさに、自分がそうでした…。
当日はなくても別に良かったなと思う部分、いま考えるとたくさんありました。

相原 そうなんですよ。
だから、無理にいろいろなことをやらなくていいですよ、と伝えています。
美味しいご飯は現場の人がやってくれるし、綺麗に会場装飾するのはお花屋さんがやってくれるし、BGMはプロの音響担当がいるから、音源を1週間前までに全部出して渡してくれれば。
ふたりが当日、元気に笑顔で来れば、最高の結婚式が成り立つから、そんなに頑張らなくていいんです。

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結婚式のおかげで出会えたプランナーさんには本当に感謝しているんです。素晴らしいクリエイターの人がみんな自分のために集まってくれて、造ってくれて…最高の空間でした。
でも、その時間とその空間を最高に楽しめたかというと、そうじゃなかった。
相原さんのお話を聞いていて、結婚式を楽しむために、もっと気楽にやっていればよかったなと。
挙式をどう作るかより、当日どう楽しむかを考えるほうが大事だったな。ウェディングプランナーさんをもっと頼って、もっといろんな準備をお任せしてしまってよかったと思います。

相原 そうそう。もう全部準備を投げたらいいんですよ。
「結婚式準備にウェディングプランナーがいる良さ」って、そこなんです。
そんなに無理に作らなくてもいい。演出を頑張って組んだり手作りしなくてもいい。
全部投げてください。
ご飯をゆっくり食べて、来てくれたひとたちと話せる時間と一緒に写真を撮れる時間がしっかりあったら、絶対に楽しいですから。

お色直しもしなくていい、ケーキ入刀とかもしなくていいし、プロフィール映像も作るのが大変だったら、写真だけ持ってきて当日装飾を作る人がいい感じに壁に並べて、みんな見てもらったらいい。
それだけで、もうみんな懐かんでくれるんです。
…っていうことを、いっぱいいっぱいになってしまいそうな方には、ちゃんと伝えてあげています。伝えて、ちょっと楽になってほしいなと思ってます。

ここ数年「結婚式って大変だ」って思ってしまっている方が多いと感じていて。
本当は大変ではなく、楽しい時間だっていう部分を伝えています。
それでも頑張りたい人は頑張ったらいいし、そのための応援やフォローもします!

「みんな当日も楽しかったって言ってくれてるかな」そんな心配も無用です。
楽しませようと無理に演出を考えたり、したくない行為は無理しなくていいんです。
どうしてもやりたいとか、見せたい演出があればいいんですが、なくてもいいんです。
ゲストと一人ひとりの時間を瞬間を大事にできて、なによりふたりが楽しんでいる。
来てくれてありがとうって一人ひとりにきちんと言える時間があるだけで、十分なおもてなしになると思います。

自分が会いたいと思う人がちょっとおしゃれをして来てくれて、自分の好きな音楽と装飾でデコレーションって…本当結婚式しかない空間と時間ですよね。
本当に、余計なことは考えず、思い切り楽しまなければもったいない瞬間です。

相原 はい。だから、結婚式にコンセプトはいらないと考えています。
もちろん、考え方は一人ひとり違いますし、新郎新婦のやりたいことも違ってきますが、最低限だけでいいって私は思ってるんですよね。

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今までとこれからと。コロナ禍でも不安はない

コロナ禍を経てCLASKAも閉館し、施行数もお客様も減って、大変だった時期だったと思います。今後結婚式の文化はどうなるの?ブライダル業界は大丈夫?と不安にかられる人が多かったでしょう。
コロナ禍期間を通して、考えていた部分はありますか?

相原 実は、皆さんほど不安になったりしていなかったです。いや、全然不安はなかったんです。
もし会社員だったら、全然仕事がない、お給料はどうなるんだろう、どうしたらいいかな…と不安になっていたと思うんですが。
その点私はフリーとして独立していたので「自分がなんとかするしかないよね」と、腹をくくっていた部分はあったかもしれません。
人任せにしていても何も変わらないですし、自分がなんとかしないとな、と。

コロナ禍でも、結婚式をしたいと考えているひとは大勢いるのも感触としてありました。
いっぽうでコロナ禍でも私同様、フリープランナーとして独立した方も増加しています。
自分とチームのみんながやってきたプロデュースについて、どうしたら「結婚式をやりたいひと」に届くのか、どう発信していったらいいか…そんなことばかり考えていたので、不安になる暇がなかったのかもしれません。

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相原 コロナ禍から「結婚式なんて必要ない」と考えているひとたちに「いやいや、結婚式ってやったほうがいいよ。すごく楽しい、いいものだよ」と伝えていくのは、とても難しいと実感しています。
伝えていく力をつけるにはどうしたらいいか…そのためにできることを模索していた毎日でした。

伝えるのって難しいですよね。snsとかブログとかあったとしても、興味をもって、話に耳を傾けてもらえるまで。
でも、コロナ禍前まで結婚式についてみんないろいろ考えすぎて、「あ、結婚式って哲学的にすらなりううる感じになってきちゃったな。最近」と実は思っていたんです。
ちょっと敷居が高い存在になってしまっているのかも…と。
でも、相原さんと話していると、すごく気が楽になるんです。「あ、結婚式って純粋に楽しいだけでいいんだ」と。
その空気を、思いを、プロデュースをぜひそのまま、発信して伝えていってほしいです。

相原 大事なひとと、ただ会うだけでも楽しいでしょう?それが絶対1番大事なんですよ。
おしゃれに見せるためには、失礼のないおもてなしをするには…それを突き詰めすぎると、本当に大切な瞬間を見落としてしまいます。

みんなの最高の笑顔を引き出して、新郎新婦がリラックスして楽しめる1日を過ごせているかの方が大事だと思うんです。
あとはふたりの思いを汲み取ってくれて、形にしてくれるプロフェッショナルをどれだけ揃えられるか…。
今後とも、チームと共に、ウェディングの<Present>を贈り続けていきます。

フリーウェディングプランナー【相原 千鶴】profile

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結婚式のサービススタッフからキャリアをスタート。
ブライダル業界はレストラン、ゲストハウス、海外ウェディングのプロデュースなど、ブライダルのさまざまな形態で経験を積む。
ウェディングプロデュース会社に入社後は新規接客から当日担当まで、ウェディングプランナーとしてトータルサポートに幅広く従事。

2010年より、オーダーウェディングのフロンティアである株式会社クラスカへ入社。 2020年12月「CLASKA」閉館まで、総勢300組ほどのお祝いのサポートをする。
2021年より、これまでの経験を生かし、フリープランナーとして独立。活動開始。
趣味は掃除と、美味しいものを探すことと、温泉に入ること。

sowell(公式)
https://sowell.tokyo/
Instagram
https://www.instagram.com/chizuru_aihara/

相原 千鶴さんについて詳しく知りたい方は
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