「結婚式を“あなたの大切な人たちに大切な想いを伝える時間”にするために」フリーウェディングプランナー・若林景子

更新日:2021.10.01

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日本のウェディングシーンを牽引する大手プロデュース会社で熟練のプランナーとして活躍した若林景子さん。プレ花嫁なら誰もが知っている憧れの人気会場で、500組以上のカップルに寄り添い、トレンド最前線で結婚式をつくり続けてきました。ですが、自身の出産後に気が付いた大切な人への想いから、ウェディングに対するスタンスが大きく変わったと言います。「この結婚式は、あなたにとって大切な人と過ごせる時間になっていますか?」シンプルな問いに対するひとつの答えが、若林さんのプロデュースする【Always-yours.wedding(オールウェイズユアーズウェディング)】です。

手がけたウェディング500組以上。実力派プランナーがフリーに転身した理由

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お話をうかがう前に、若林さんのご経歴を拝見しました。独立前にウェディングプランナーとして働いていたのは『TRUNK BY SHOTO GALLERY』や『青山迎賓館』…結婚式会場を探すプレ花嫁なら、誰もが一度は目にする憧れの人気会場です。日本のウェディングのトレンド最前線でキャリアを積まれていたのですね。

若林 そこだけ見ると順調だったように見えると思いますが(笑)、ウェディングプランナーとしては、王道路線でキャリアを積んでこられた訳でもないんです。大手プロデュース会社にプランナー希望で入社できたものの、体調を崩して結婚を理由に実は一度退職しています。

その後、同じ会社に出戻りで再就職したときには、全国60カ所もの自社会場の広告宣伝を担当する部署に配属からの再スタートでした。希望とは違う部署で、昔の経験も活すことができず、本当に苦労の連続だったんです。
ですが、その部署にいたおかげで全国や都内の自社会場の数字やマーケット情報をすべて網羅することができ、他社の会場の特徴や違いなども俯瞰(ふかん)から把握できるようになりました。
いまではプランナーの仕事だけでは得られなかった経験ができ、仕事での視野も広ったと感謝しています。

ただ、プランナーの仕事は諦めきれず、お世話になった上司に「どうしても」と話をして、プランナーとしてようやく現場に立つことができたんです。

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ウェディングトレンドの最前線で若林さんが描いた夢

その後はウェディングプランナーとして、地方の会場から始まりさまざまな会場を経験されています。ウェディングトレンドを牽引する注目の会場から、会社のフラッグシップでもある人気会場まで経験されたんですね。

若林 『TRUNK BY SHOTO GALLERY(トランクバイショウトウギャラリー)』のときは、立ち上げからたずさわらせていただきました。自分達らしさ、新郎新婦のやりたいことに120%応える式場で“コンセプトメイキング”を学び、スキルの高いメンバーたちと切磋琢磨しながらの日々でした。

実はその前に、オーダーメイドスタイルのウェディングをプロデュースする精鋭チーム『Haute couture Design(オートクチュールデザイン)』にも参加させて頂いたんです。 ここではゼロからウェディングをつくりあげることや、プロとしてのプライドや仕事への姿勢を学ばせていただきました。

その後、ニューヨーク研修にいく機会を得て、自分の知らない結婚式の世界を見ることになります。そこで出会った、型にはめず二人の趣向に合わせオリジナルで創り上げるウェディングスタイルに感銘を受け、フリーウェディングプランナーになることが、自分の次の目標になったんです。

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結婚式でテーマ・コンセプトを決める意味とは?
思いをかたちにすることは難しい。
やりたいことを共感するのは難しい。
だからまずはヒアリングから、ふたりを連想するキーワードをつくる。そこからアイデアを出し合う。
その話し合いから、ふたりがふたりにとって、しっくりくることを見つける。

ストイックな環境だから学ぶことができたプロデュース・スキル

激務と言われるウェディング業界で、同じ会社に10年間在籍され、なんと500組以上ものカップルの結婚式を担当されています。手がけた組数に驚きました。

若林 仕事が大好きであるがゆえに、ストイックに働きすぎた部分もあります…(笑)。
ですが、たくさんのお客様の結婚式準備や人生に伴走させていただくことで、同じ結婚式を挙げるのにも「お客様によってここまで考え方が違うんだ!」ということに気づかされました。

だから、おふたりのこれまでの人生や背景、大切にしたいこと、好きな雰囲気などは、できるだけ深堀りしてヒアリングします。 その中から、おふたりの人生の軸になる「コンセプトワード」を抜き出していくんです。
どんな状況でもおふたりの人生の軸に焦点をあて、結婚式をプロデュースする対応力は、どのプランナーにも負けないと自負しています。

この結婚式は、あなたにとって大切な人と過ごせる時間になっていますか?

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順調にキャリアを積まれ、お子様さまをご出産後も、すぐにプランナーとして職場に復帰されています。ですが2年後に退職を決意されたのはどのような理由からでしょうか。

若林 子どもを出産後、10カ月ですぐにウェディングプランナーとして復帰しました。ですが、出産と子育てを通じて、自分の中で結婚式への目線が大きく変わってきたことを感じていました。
結婚式のかたちは、今までの人生で縁のあった人たちが一同に介して『華やかに賑やかに行う形式』が現在でも王道と言えます。
ゲストとしてお祝いに来てくださるのは、家族、親族、友人、職場関係…。
自分が寄り添ってきた結婚式も、まさにほとんどが王道のかたちでした。

キャリア形成と子育てのはざまから生まれた結婚式への疑問

若林 確かにコンセプトウェディングやテーマウェディングが、トレンドを牽引した時代はありました。
ですが、華やかで賑やかな夢のような空間の中で、どこかついていけていないゲストの姿や、新郎新婦本人の姿も、プランナーとして同時に見てきたんです。

華やかな空間で、友達がワイワイやっている中で取り残されてしまうおばあちゃん。
それに気づきながらも、会社の人の目を気にして、普段の本当の姿を見せられない新郎新婦の姿も目の当たりにしてきました。

ああ…その光景が目に浮かんで、胸が痛くなります。新郎新婦は仕事関係のゲストへの挨拶や、ノリの良い友人たちへの対応を、どうしても優先せざるを得ない場面もあるでしょう。

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若林 そして私自身、結婚しても子どもを産むまでは自分の親や兄弟との時間を、あまりとってきませんでした。
出産後、仕事に復帰した私を応援してくれたのは夫。そして身近で支えてくれたのは親と家族でした。どんな人よりも家族と話すようになり、初めて「この人たちに、結婚式でもっと感謝を伝えなければいけなかったな」と強く後悔したんです。

家族に対しての思い。友達に対しての思い。
自分をとりまく人の大切さに気づいたものの、気持ちをしっかりと伝える改まった場が、人生の中で少ないことにも同時に気づきました。
本来はそのためのタイミングが、結婚式だったんですね。

結婚式はふたりで歩き出す人生の始まりの場でもありますが『大切な人たちに感謝を伝える場』でもあると、分かっているようで、改めて言われると、分かっていなかったかも知れないです。

若林 私は出産のだいぶ前に結婚式を終えています。いまとなって、結婚式以外で大切な人たちにしっかりと感謝を伝える場を見つけるのは、ほんとうに難しいんです。
だから「新郎新婦が本当の自分でいられる」「大切な人を大切にできる」「本当に過ごしたい人と過ごせる時間」をつくりたいと思ったことが、フリー転身への大きなきっかけになりました。

そうして2年間の準備期間を経て、フリーランスとして新たなウェディングプロデュースを立ち上げたんですね。

若林 大人数でも少人数でも、フォーマルでもカジュアルでも、どんな形のウェディングでもいいんです。
着飾ることや他人の目を気にするより、自分の過ごしたい時間を、自分のありのままの姿で、本当に大切な人と大切な時間を過ごした、と思える場であれはいい。
その思いから自分のウェディングプロデュースを【Always-yours.wedding(オールウェイズユアーズウェディング)】という名前にしました。

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フォトブランド【Alt.(オルト)】も同時にプロデュース
自分らしさを大切に、何気ない日常、自分たちの姿を残すことをコンセプトにしたフォトブランド。
優しい丁寧なまなざしで日常を特別にするクリエイター陣のなかに、プランナーとして若林さんも加わっている。

「特別なウェディング」を気軽に等身大で実現できる多摩・西東京エリアの魅力

フリーになられてから、ウェディングプロデュースする地域を都心ではなく、西東京エリアや多摩エリアを中心にする、という発想に驚かされました。西東京、八王子、立川、多摩…コロナ禍のいま、リモートワークが一般的となり、せわしない都心からの移住を考える人も増えている地域です。

若林 この地域は住んでみるとよくわかるのですが、都心や23区とは違った魅力がある、とても素敵な地域なんです。
東京とは思えないほど豊かな緑に溢れたガーデン、美術館、取り壊されずに残った古い洋館、広々とした一軒家レストラン、森のある公園や、日帰りも可能なキャンプ場など…。
子育てしやすい地域として引越して来る方が多いと思いますが、結婚式をおこなう会場としても、都心にない、まだ知られていない魅力をもったロケーションがたくさんあります。

だから都内の他の地域に比べると、生まれ住んでいる西東京エリア、多摩エリアが大好きだという方が多いことは、前職の広報時代にも強く感じていたことです。

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確かに先日、都心からそちらの方面に行ったとき、東京都内とは思えないほどのんびりした景色や環境に、ちょっとしたリゾート気分を満喫することができました。下り方面で電車も空いている方向なので、アクセスも快適ですし。

若林 西東京エリアや多摩エリアなら、23区内からアクセスもしやすいので、ゲストの招待も負担にはならないでしょう。
そして軽井沢でのリゾートウェディングのような、ガーデンウェディングや屋外でのウェディング、特別感のある結婚式が、『肩肘貼らずに』『頑張らない』で計画可能なエリアなんです。

ふたりの人生の出発点となる大切な場所が、いつでも行ける身近な場所にあるということ自体が、ものすごく贅沢です。やがて生まれてくる子どもや両家の家族と、季節の折に気軽にいって、楽しむことができますね。

若林 「婚姻届を出すだけではもったいないな」「でも、二次会の延長のような結婚式だとカジュアルすぎてしまうかな」という迷いがある人たちにとっても、等身大の予算内でオリジナルウェディングのプランニングができるはずです。そしてプロのアドバイスとプロデュース、演出のエッセンスを加えるだけで、特別な日を迎えて頂けることを、丁寧に伝えていけたらと思っています。

母、そしてプランナーとして「結婚と子育てへの不安」のその先の姿を伝えたい

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母となり、フリーのウェディングプランナーとして独立した今、お仕事に対する想いや考え方については、何か変化はありましたか?

若林 実は、独立した理由のひとつに、『プライベートを大切にしながらウェディングプランナーとして働ける、フリーランスの生き方』を選択することで、結婚や出産を夢みる若い世代の後輩に、働き方の多様化を見せたいという想いがありました。

ウェディング業界は女性が多い業界にもかかわらず、女性が働きづらい環境であるのが実態でした。私は子供が4歳まで会社員として働いていましたが、時短勤務期間が終了してしまうと、子育ての一番大変な時期にも関わらず拘束時間が長く、土日のすべてが仕事という状況なんです。大好きな子どもを大切にしながら仕事の両立は難しいと感じました。
でも、私は大好きな仕事のキャリアも、もっと積みたかった。

いろいろな人に相談したものの、「仕事のキャリアと子どもとの時間、2つも得ようとしているのは贅沢だよ」と言われることも多かったです。どちらかひとつを選ぶ方がいいんじゃない?と
でも、人生の中で大事なものが、どちらか片方しか選べない選択は、自分では何か違うなと感じていましまた。

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多くの働く女性が、結婚と出産でぶつかってしまう壁ですね。結婚や出産のタイミングで大好きな仕事を諦めたり、別の生き方を選ぶことを余儀なくされてしまうこともあります。プロデュースを依頼する新郎新婦の中にも、新しい門出の後の生き方で不安を抱える方も多いでしょう

若林 いまフリーランスとして独立したことで、新郎新婦のおふたりにも「結婚と出産に対する不安の、その先」を、見せられるようになったかなと思っています。
今だから確信をもって言えるのですが、女性として仕事とプライベート両方を充実させることは、決して欲張りなことではないんです。

結婚式準備を進める新婦様とお話していると、結婚を機に人生のセカンドステージを迎えるにあたって、仕事をどうしたらいいだろうと考えている方はとても多いんです。
でも迷ったとき、自分の選んだ道を応援してくれるひとは必ず近くにいます。それは、あなたのすぐそばにいるひとなんです。まさに私がそうでした。
ふたつの大事なものの間で迷ったとき、サポートしてくれたり、近くで応援し見守って背中を押してくれたのは、夫や家族、友達…身近な親しいひとたちでした。

結婚、子育て、仕事。すべて両立させていくことは、周りのサポートも必要になるでしょう。でも、自分自身が輝いていることで、周りの方も一緒に、絶対にハッピーになるはずなんです。
だからこそウェディングをきっかけに、自分にとっての大切な人の存在に気づいたり、自分にとっての“好き”を見つけたり、これまでの思い出を再発見したり…。
長い人生の中で新たな気づきを得る、いいきっかけになるようなお手伝いをしたいなと考えています。

フリーウェディングプランナー【若林景子】profile

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栃木県出身。広告代理店での営業経験を経て、ウェディングプランナーに転職。
(株)テイクアンドギヴ・ニーズに在籍する10年間で、500組以上の新郎新婦のウェディングに寄り添ってきた。

ニューヨーク研修で「自分の好きなものだけを集めて創り上げる自由なウェディングスタイル」を見て感銘を受け、その後の仕事にも大きく影響する。

日本のウェディングトレンドを牽引する会場で磨いたプロデュース・スキルを活かし、様々なニーズに対応できる引き出しの多さでプランニングすることが特徴。マニュアル、固定概念に縛られずアイデアを駆使し、新郎新婦のやりたいことには絶対に「No」とは言わない。

子供の出産を機に5年前から拠点を多摩地区に移し、現在は1児の母&フリーランスのウェディングプランナーとして活動中。家訓は「Que Sera Sera〜なるようになる〜」常に笑って笑顔でなんとかなると乗り切るのがモットー。

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