【愛知・名古屋でオリジナルウェディング】結婚式で『テーマ』『コンセプト』を決める大切な理由とは?フリープランナー・小関陽子さん

更新日:2021.10.01

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オリジナルウェディングを提案する結婚式会場やプロデュース会社は多数あるにも関わらず「本当にふたりらしい自由度の高い結婚式を作るのは難しい」理由とは?なぜ結婚式を準備するのに「テーマ」と「コンセプト」が重要になるのか?愛知を中心に東海地方で活動する【YOUR WEDDING&DESIGN(ユアーウェディング&デザイン)】のフリープランナー・小関陽子さんに、ふたりの大切な出発の場所にするためにテーマを決める「結婚式のつくり方」と、ウェディングプランナーの役割について詳しくお聞きしました。

満足度の高いオリジナルウェディングの実現が難しい理由

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以前小関さんに、フリーのウェディングプランナーとして、仕事に対する考えや向き合い方を詳しくうかがったとき「『ふたりらしさ』は本人たちの目線からでは分からない部分がある」といった話をうかがいました。他の人とはかぶらない『ふたりらしさ』を結婚式で表現したいニーズは年々増加しています。しかし、さまざなウェディング情報やプランが溢れすぎていて「オリジナルウェディングって、結局一体どんな結婚式?」と、根本的なところで頭を悩ませてしまう方も多い現状です。

小関 数年前から多くの式場が使う『オリジナルウェディング』のワードから連想するのは、多分某人気ウェディングプロデュース会社の提案する結婚式を想像される方が多いでしょう。私も初めて目にしたとき、衝撃を受けました。

現在『オリジナルウェディング』は、さまざまな結婚式会場の提案するプラン案内などで簡単に使われていますが、本当の意味でのオリジナルな結婚式は、現状ほとんどありません。
大体が、運営会社のテンプレートやフォーマットに従って結婚式は計画され準備されていきます。

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なるほど。オリジナルのキーワードに魅かれ会場下見やプラン説明を受けても、基本的に一定のフォーマットに従った結婚式や、どこかで見たパーティしか実現できないため、求める理想やイメージと食い違い、いまひとつピンとこない方が多いのもうなずけます。

小関 現在の日本の結婚式準備は、会場探しばかりが先行しています。
しかし素敵な式場は高いクオリティで運営するために、多額の資金を投入しています。会場維持にはお客様にもお金をかけていただかなくては立ち行きません。
一定のクオリティのサービスをコストを削減しスムーズに提供できるよう、結婚式プランはある程度マニュアル化されていきます。だから結婚式会場でマニュアルから外れた部分をオーダーメイドにするのはとても難しいのです。

しかし会場探しはウェディングのなかで、ドレスやアイテム探し、クリエイター探し、デザイン選びなどと同じ、一部の要素にすぎません。
会場を全てにしてしまうから、会場以外の選択肢が全て制約されてしまうのです。

私の考えるオリジナルウェディングとは『おふたりだからこそできるウェディング』です。
だから「おふたりらしさ」が表現できるなら、極端にいえば、どんな会場で、どんなスタイルで、どんな装飾でもいいのです。
逆にいうなら、おふたりらしさのない結婚式は、高額な対価を払う意味が半減してしまうと考えています。

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オリジナルウェディングの計画にウェディングプランナーが必要な理由

しかしお話を聞くと、オリジナルウェディングの実現はかなり難題では?ゼロベースからすべて探し準備するには、膨大な時間とタスク、人材探しといった、さまざまな要素が必要です。本格的なオリジナルウェディングの計画には、時間も手間も金額も、跳ね上がってしまう不安があります。

小関 確かにオリジナルウェディングには、難しい側面もあります。
しかし、独立して私のお手伝いさせて頂いたおふたりからは、結婚式後に「隅々まで『提案』してくれて、めんどくさがり屋のわたしにはピッタリでした!」といった声を頂いています。
思い返すと、私に依頼された方たちに共通するポイントは「結婚式にこだわりはあるが、スムーズに自分たちにぴったりの方法や準備を知りたい」方たちなんです。
準備のスムーズさを喜んでいただける理由として、式場プランナーとフリープランナーの提案方法の違いがあります。

ウェディングプランナーの『提案力』は結婚式準備の際に、新郎新婦の満足度を大きく左右する重要な要素だと感じています。結婚式会場の口コミを隅々まで読んでいると「プランナーからの提案はほとんどなかった」「自分たちの欲しい情報やワクワクする提案がプランナーから得られず決断だけ迫られた」といったプランナーの提案力のなさへの不満を、かなり多く目にするからです。

小関 実際、私が式場プランナーだった時、プランナーの仕事は、打ち合わせの仕方、手順は全て決まっていました。
衣装、装花、写真といった基本的にアイテムの打ち合わせは、各パートを担当するパートナーが行います。
おふたりは会場側の提示する「できる内容」の範囲の提案の中から、自分たちで選択していかなくてはいけません。結婚式準備に提案ナシで決断を迫られていると多く感じる要因です。
また運営会社に属しているため、当然”売り上げ“の部分を意識する必要があり、各パートナーの提案した事項にプランナーから単価を下げる発言はできないのです。
おふたりに強い意志や希望がないと、おふたりらしさや統一感は出しづらい仕組みになっています。

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小関 フリープランナーの場合は、プランナーによって提案方法は変わってくるため、一概には言えません。
私の場合は、最初に決めたコンセプトに沿って『こんな方法やデザインは、いかがですか?』と、まずは私のベストだと思う方法やアイテムを提案をさせて頂き、一緒に考えていきます。
コンセプトから外れる方法や要素は選択肢から消えていきます。
また、おふたりの重視する項目の違いや、予算が限られている場合もあります。おふたりの事情や希望を考慮した上でベストな提案ができるのは、フリープランナーの強みだと思っています。

なるほど。会場や組織の枠組みから外れている立ち位置からなら、ふたりの希望をフラットに、そしてダイレクトに反映させたオリジナルプランが見えてくるわけですね。結婚式をゼロから『作る』より、最適解を『導き出す』といった表現に近いと感じます。

小関 だから、オリジナルウェディングを作るのは本当に難しいんです。
わたしもフリーになって、専属会場以外の初めての場所で結婚式を作らせていただくケースが増えました。初めての場所で結婚式が作れるのは、独立前にさまざまな結婚式を作る経験をして、数多くのウェディングを見てきたからです。
現在に至るまでプロとして、伝統的な結婚式の意義、トレンドウェディングの知識、世界から発信されるウェディングの情報に常にアンテナを張り、収集し学んでいます。
結婚式についての情報量の多さから、しがらみなく自由に、本当に最適なプランをおふたりに提案できるのはフリーランスの立場だからだと考えています。

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結婚式のプロデュースに『テーマ』『コンセプト』が重要な理由

ふたりらしい、オリジナリティの高い結婚式をおこなうための手がかりや原点を会場選びではないとするなら、何をもとにして結婚式を作っていけば良いのでしょうか。
前回のお話で、結婚式をプロデュースする際に『テーマ』と『コンセプト』を小関さんがとても大切にしている話を伺いました。今回は『テーマ』と『コンセプト』が結婚式でどんな役割を果たすのか、詳しくお話を聞きたいです。

小関 テーマ、コンセプトとは、おふたりの結婚式の設計図です。

・テーマとは
企画があったとしたら、企画の根本を定める「主題」。

・コンセプトとは
コンセプトは「企画の枠組み、骨組み」を指します。「テーマ」の表現となる枠組みが「コンセプト」です。どんな方向性と切り口で企画を進めていくのかを明確にして、どのように表現していくかの指針です。

小関 テーマウェディングをお勧めする理由は、結果としてトータルで全てに意味のあり、統一感のある素敵なウェディングになるからです。
ただしテーマといえども、私はただおふたりの好きなアイテムや演出ばかりで統一する方法はとりません。
ナチュラル、海、森、和風、アンティーク、感謝…。
誰にも当てはまるテーマなら、1年目のウェディングプランナーでもできるのでしょう。
しかし、単なる『好きの寄せ集め』になってしまう結婚式も多いのです。

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実は…私も自分の結婚式はある会場のオリジナルウェディングプランで計画しました。何でも自由にできてしまう反面、テーマを決めるのが本当に難しかったです。思い返すと『お互いの好きや趣味の寄せ集め』になってしまった感は否めません。もっとしっかり、ふたりで話し合ってテーマを決めておけば良かった。他には満足しているものの、演出面は心残りになっていて、耳が痛いです…。

小関 『ふたりらしさ』は自分たちの視点から感じている部分と、他人の目から見て感じる部分が違う場合もあります。
だから、私たちプランナーが第三者の目線でおふたりを隅々まで理解するのは、テーマを決めるためにとても重要なんです。自分達の共通点だけでなく、お互いの交わらない反対の部分も確認したほうが良いのです。
しかしおふたりだけの力で確認するのは難しい部分があるでしょう。

私は結婚式のプロデュースを始める際に、おふたりの今まで歩んできた背景、性格、共通点、違っている点…深くヒアリングして、おふたりについて知る『ヒアリング』からスタートします。
また、おふたりにはあらかじめ、お好きなイメージや気になる写真をpinterestといったSNSで集めていただき、事前に共有いただきます。
そこから「なぜこういったイメージが好きなのか」「どういうパーティーのイメージにしたいか」をお伺いし、イメージや雰囲気のどの部分がお好きなのかを理解するのです。
確認の上で私自身の感じる『ふたりらしさ』をプラスαして、よりおふたりらしさが出るデザインでテーマとコンセプトが形成できるよう、事前準備しています。

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結婚式準備の時間が新しいふたりの人生を始める前に大切な理由

【小関さんの結婚式プロデュースの流れ】

<1>ヒアリング
おふたりについてや、式に対する希望を詳しくヒアリングします。
重視しているポイント、立地、会場の種類や雰囲気、どんな挙式会場がいいか(白ベース、大聖堂?神前式?など

<2>会場の提案
詳しいヒアリングを元におふたりに合わせた会場を提案し、一緒に見学に行きます。
既におふたりの基本的な情報やテーマを持ったうえで会場探しをおこなうため、コンセプトがズレる心配はありません。

<3>会場、日取りの決定、お申し込み

<4>おふたりについて再度ふか〜くヒアリング

<5>コンセプト提案
こちらでイメージをすり合わせて、ウェディングの軸となる言葉、カラー、モチーフ、テイストを決めます

<6>パートナー提案
おふたりの人柄、コンセプトに合いそうなおすすめのクリエイターを提案します

<7>進行の提案
式の流れや、コンセプトに合った演出を提案します

<8>装花、装飾の提案
コンセプトに合わせて、お花やテーブルコーディネート、ペーパーアイテム、ウェルカムスペース、リングピローといったアイテムの細部まで提案します

おふたりについて詳しくヒアリングする機会が会場決定前と決定後、2回もあるのは嬉しいですね。結婚式準備を始めるまで具体的な想像が難しく、ぼんやりした希望しか持っていなかった方は、会場決定のタイミングでもう一度指針を再確認できるため、テーマがふたりの希望からブレる不安はさらに少なくなります。そういえば、ヒアリングシートやコンセプトシートはありますか?

小関 もちろんあります。
ヒアリングシートの質問数は3ページにわたり、書き込む項目も他に比べるとかなり多いでしょう。
おふたりらしさを見つけていく上で、またふたりがお互いと自分について振り返れるよう、より細かい部分まで知っていけるようになっています。
ヒアリングシートをすべてご記入いただいた上で、カウンセリングをしています。

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3ページも…!私の結婚式準備の時にはなかったですね…。結婚式準備をしながら、今までの人生についてひとつひとつ棚卸しをしているようです。自分の人生とふたりの関係性について、じっくり振り返る時間を第三者目線で投げかけてもらえる『ヒアリング』を設けるのは、準備以上におふたりか新たな道を踏み出すために大事な時間なんですね。

小関 はい。実は私はウェディングプランナーの最も大きな役割と存在意義とは、結婚式準備を通じておふたりが、お互いについてより理解を深めあい、絆を深めあうために働きかけたいと考えています。
だからウェディングテーマをおふたりだけの”言葉“で紡いでもらえるよう、第三者として、私が知っていけるできるギリギリの範囲まで突き詰めて深堀りしていくのです。

そして第三者の目線から、ふたりの決めたテーマにあわないアイテム、必要のない演出はそぎ落とし、必要な要素だけで結婚式を作っていきます。
ふたりに合わないのであれば、どんなにやりたいケーキも形を変えて頂くご提案をする場合もありますし、可愛いや好きだけで選ぶアイテムや装飾に助言する場合もあります。

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【ウェディングテーマ例/おなじ青でも】
小関さんの丁寧なヒアリングと提案の積み重ねから作られたコンセプトシート。
生い立ち、育った環境や価値観、大事にしたい思いはまったく異なるふたり。ヒアリングを進め唯一の共通点は『青が好き』であり、テーマカラーを青にしようと小関さんが提案。
ふたりは当初、青をテーマカラーにするつもりは全くなく、なんとなく「ナチュラルな感じがいいかなあ」程度にしか考えていなかった。
「イメージしている色は、同じ青でも違う青かもしれない。だからこそ、結婚の先にお互いの思い描く青を想像して、おふたりらしい青をふたりでつくっていきたい」
混ざりあう青のグラデーションは、まったく違う価値観のふたりが今後すり合わせ人生を歩んでいくイメージ。
小関さんの提案をふたりはとても気に入り、ふたりの人生のテーマカラーにもなった。
ウェディングの装花、アイテム、演出は、ふたりのテーマに基づき、すべて選んだ意味がある。

実際にテーマとコンセプトがどんな形になったか結婚式の様子はこちらから

おふたりの希望を変更するのは、かなり難しい提案ですね。ふたりとプランナーの間に信頼関係がないと、一歩間違えればクレームにもなりかねません。

小関 だからこそ、深くおふたりについて知るためのヒアリングが活きてきます。
新郎新婦様の持っている情報量は、ウェディング関係者でないなら基本的には氷山の一角です。年中、24時間ほとんどウェディングについて考えているプランナーの方が圧倒的に情報量は多いです。
多くの引き出しから装飾、演出、アイテム、クリエイターまで、様々な部分でご提案しています。

ただ、テーマやコンセプトはあくまでウェディングの軸で、統一性を持たせるための重要な部分ですが、それ以上でもそれ以下でもないのです。
コンセプトに囚われ過ぎず、おふたりの持っているエピソードを、いかにテーマに合わせて表現していくかもプロの技術です。
ご提案した内容があまり気にもらえない場合は、もちろんあります。
丁寧なヒアリングで隙のない提案のひとつひとつ積み重ね、最終的にすべておふたりにとって価値のある要素で構成できるようプランニングをしていくのです。

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ウェディングプランナーとして『ふたりらしさ』にとことん向き合う理由

小関さんとお話をしていると、結婚式を通じて「おふたりに幸せになってほしい」気持ちと滲みでる熱意がどんどん伝わってきます。しかしコロナ禍のなか、結婚式業界は大きな変化を迫られています。時代の変化とともに、小関さんの考えるプランナーの役割や仕事の意味は、変化していますか?

小関 コロナ禍を通して、ウェディング業界だけでなく、世の中の結婚式に対する考え方は大きく変わりました。
一例として、結婚式の打ち合わせの方法は変化しています。
コロナ前から大手の式場ではwebを使った打ち合わせ方法は増えてきていましたが、今後はオンライン化が進み、より”人”が介入してお手伝いする意味は問われていくでしょう。

またSNSの普及で、情報収集や素敵なイメージ(コーディネートやアイテムなど)をウェディングプランナーの力を借りず、自分で作る花嫁さまは本当にたくさんいらっしゃいます。
情報収集やビジュアルを表現する力といった意味で、もはやプランナーの存在価値は薄れていっているでしょう。

では、いま試されているウェディングプランナーの存在意義とは?
結婚式に対する価値観や選択肢が拡大したなかで、どんな逆境にあっても「結婚式をなくしたくない」と思い続ける強い信念。
おふたりを全力で応援し「結婚式をしたい」と考えるおふたりの気持ちが折れないよう、サポートする役割だと考えているんです。

結婚式は人生で最高に幸せな時間。そして幸せな時間を作るために私たちウェディングプランナーはいます。
結婚式の意味とウェディングプランナーの役割は、どんな時代になってもずっと変わらないよう、守り続けていきたいんです。

フリーウェディングプランナー【小関陽子】profile

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愛知県出身。ウェディングプランナー歴は8年目。
東京にある4年制大学を卒業後、ウェディングプランナーとして、最初から独立を目標に専門式場やゲストハウスなど3つの会場でキャリアを積む。
結婚式の作り方以外にも、会場の責任者的な立場から営業、式場の運営、発注、広告媒体、パートナーとの関わり方、人員手配、売り上げ管理まで、様々なことを経験。
司会、空間コーディネートやサウンドコーディネートの分野に至るまで、結婚式を成立させるためのあらゆる専門分野の仕事にもたずさわり、幅広いキャリアと知識を身につけた。

当初の目標通り、プランナー6年目となる2018年にフリーランスとして独立。以降愛知県を中心に、和歌山県、岐阜県など幅広い地域で結婚式をプロデュースする。
「ふたりらしさとは何か」を新郎新婦から丁寧にヒアリング。新郎新婦自身も気づかなかった「ふたりらしさ」を客観的なプランナーの視点からも見極めたうえで、アイテム、装飾、演出のひとつひとつに「ふたりがやる意味」をもたせ、統一感のあるウェディングの世界をつくりあげる。

小関 陽子さんへ結婚式の相談など、
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